増え続ける世田谷区の予算。その変化をどう見る?
前回は、世田谷区の令和8年度(2026年度)の一般会計当初予算が、4,313億5,300万円であることを見ました。
では、この4,313億円という金額は、以前からこのくらいだったのでしょうか。
過去の予算と並べてみると、世田谷区の予算規模が大きくなってきたことが分かります。
今回は、令和3年度(2021年度)から令和8年度(2026年度)までの6年間を振り返りながら、
「なぜ予算は増えているのか」
そして、
「予算が増えることを、私たちはどう考えればよいのか」
を見ていきます。
世田谷区の予算は、6年間でどのくらい増えた?
まず、一般会計の当初予算を並べます。
「一般会計」とは、福祉、子育て、教育、防災、道路、ごみ処理など、私たちの暮らしに身近な行政サービスの中心となる会計です。
| 年度 | 一般会計当初予算 |
|---|---|
| 令和3年度(2021年度) | 約3,200億円 |
| 令和4年度(2022年度) | 約3,336億円 |
| 令和5年度(2023年度) | 約3,620億円 |
| 令和6年度(2024年度) | 約3,716億円 |
| 令和7年度(2025年度) | 約3,996億円 |
| 令和8年度(2026年度) | 約4,314億円 |
令和3年度は約3,200億円でした。令和4年度は約3,336億円、令和5年度は約3,620億円となっています。
その後も、令和6年度は約3,716億円、令和7年度は約3,996億円、そして令和8年度には約4,314億円となりました。令和7年度は前年度から7.6%増、令和8年度はさらに7.9%増となっています。

6年間で、約1,114億円増えています
令和3年度と令和8年度を比べてみます。
約3,200億円 → 約4,314億円
です。
増加額は約1,114億円。
率にすると、およそ35%の増加です。
わずか6年間で、一般会計の当初予算は1,000億円以上大きくなったことになります。
ただし、ここで注意したいことがあります。
「予算が増えた=行政サービスが35%良くなった」
という意味ではありません。
予算は、その年度に「これだけのお金を使う予定です」という計画です。
物価や人件費が上がれば、同じサービスを続けるだけでも必要なお金は増えることがあります。
新しい施設を整備する年度には、一時的に予算が大きくなることもあります。
子育て、福祉、教育などで新しい制度を始めれば、その分の予算も必要になります。
したがって、大切なのは、
「予算が増えたか、減ったか」だけではなく、「なぜ増えたのか」を見ることです。
最近2年間は、特に大きく増えています
もう一つ注目したいのが、令和7年度と令和8年度です。
令和6年度は約3,716億円でした。
令和7年度は約3,996億円。
そして令和8年度は約4,314億円です。
つまり、
令和6年度 → 令和7年度 約281億円増
令和7年度 → 令和8年度 約317億円増
となっています。

世田谷区だけが増えているのでしょうか
ここも重要です。
東京都がまとめた「令和8年度 特別区当初予算状況」を見ると、23区全体の普通会計予算は、令和8年度に約5兆4,465億円となっています。
前年度から6.8%増です。
しかも、23区全体では平成25年度以降、14年連続で予算規模が増加しています。
つまり、
予算規模が大きくなっているのは、世田谷区だけの現象ではありません。
ただし、ここでは「普通会計」という、自治体同士を比較しやすくするために整理した会計を使っています。
先ほどまで見てきた世田谷区の「一般会計」とは範囲が少し違うため、金額そのものを単純に並べることはできません。
それでも、23区全体でも予算規模が拡大していることは確認できます。
予算が増えることは、良いこと?悪いこと?
予算が増えたと聞くと、
「行政サービスが充実しているから良い」
と思う人もいるかもしれません。
反対に、
「税金の使いすぎではないか」
と感じる人もいるかもしれません。
しかし、予算額だけでは、そのどちらとも判断できません。
例えば、子育て支援の予算が増えたとしても、
何人が利用したのか。
必要な人に届いたのか。
利用した人の困りごとは軽くなったのか。
こうしたことまで確認しなければ、その予算が十分に役立ったかどうかは分かりません。
作成ルールでも、
課題 → 取組 → 予算 → 実施 → 利用者・支援量 → 成果
という流れで確認することを基本としています。
予算額は、とても重要な数字です。
しかし、予算額は行政の取組を見るための入口であって、成果そのものではありません。
「大きくなった予算」の中身を見る必要があります
ここまでで分かるのは、
世田谷区の一般会計当初予算は、令和3年度の約3,200億円から、令和8年度の約4,314億円まで大きくなった
という事実です。
では、その約1,114億円の増加は、何によって生まれたのでしょうか。
福祉でしょうか。
子育てでしょうか。
教育でしょうか。
公共施設でしょうか。
人件費でしょうか。
物価上昇でしょうか。
あるいは、いくつもの要因が重なっているのでしょうか。
ここから先は、予算総額だけを見ていても分かりません。
「何に使うお金が増えているのか」
を見る必要があります。
吉永しんいちの考察
私は、予算が増えていること自体を、良いとも悪いとも考えていません。
世田谷区には多くの人が暮らしています。
子育て、教育、高齢者福祉、障害福祉、防災、道路、公園、地域活動など、行政に求められる仕事も幅広くあります。
物価や人件費が上がる中で、必要な行政サービスを維持するために予算が増えることもあります。
一方で、予算が大きくなればなるほど、
「そのお金が、本当に必要なところに届いているのか」
を確認することが、より重要になると考えています。
特に私がこれから確認していきたいのは、制度や支援があっても、そこにつながりにくい人たちです。
孤立・孤独の問題は、一つの予算項目だけで解決できるものではありません。
相談、居場所、ひきこもり支援、生活困窮、子ども・若者、高齢者、障害のある方や家族、地域活動など、いくつもの分野にまたがっています。
だからこそ、
「予算が増えたか」だけではなく、「必要な人まで届いているか」
という視点を持って、これから予算の中身を見ていきたいと思います。
今後確認したいこと
今回確認したのは、予算全体の「大きさ」の変化です。
これだけでは、約1,114億円増えた理由までは分かりません。
そこで次回は、
4,313億円は、実際に何に使われる予定なのか
を見ていきます。
福祉、子育て、教育、まちづくりなど、世田谷区の予算を「使い道」から分けてみることで、区がどの分野にどのくらいのお金を使おうとしているのかが見えてきます。
そして、その数字から、
世田谷区が抱えている課題と、これから必要な支援について考えていきます。
次回は、
数字で見る 世田谷区の予算 #3
「4,313億円の使い道から、世田谷の課題を考える」
です。
今回のポイント
① 世田谷区の一般会計当初予算は、令和3年度の約3,200億円から令和8年度の約4,314億円へ増加
② 6年間の増加額は約1,114億円、約35%増
③ 令和8年度だけでも前年度から約317億円、7.9%増
④ 23区全体でも予算規模は拡大している
⑤ 「予算が増えた=行政サービスが良くなった」とは限らない
⑥ これから重要なのは「何に使われ、誰に届き、どんな結果につながったのか」を確認すること
参考資料
・世田谷区「令和3年度(2021年度)当初予算概要」
・世田谷区「令和4年度(2022年度)当初予算概要」
・世田谷区「令和5年度(2023年度)予算説明書(別冊)」
・世田谷区「令和7年度(2025年度)当初予算概要」
・世田谷区「令和8年度(2026年度)世田谷区予算・同説明書」
・東京都総務局「令和8年度 特別区当初予算状況」
※金額は、読みやすくするため本文では原則として億円単位に丸めています。
※令和3~8年度の「一般会計当初予算」を比較しています。補正後予算とは区別しています。
吉永しんいち公式
代表:吉永しんいち
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